The Phantom From 10,000 Leagues(1956)
　　　　　　　　　　　　海底一万マイルからの妖怪

　
　今回のお題は1956年製作の『海底一万リーグからの妖怪』であります。これ、注文したのが12月3日でクリスマス挟んで輸送時間が掛かったせいか、梱包がもうぼろぼろ（笑）。さらに付箋がついていて「シンガポールで、梱包が湿潤するという事故がありました。できるだけ、復元してお届しましたので文句を言わないように」なんて書いてあります。なんだよ、湿潤って、湿ってんのかよ！宇能鴻一郎先生かよ！アタシったらもうジュンとなっちゃってかよ！それになぜシンガポール経由？梱包を開けてみてまたびっくり、『海底一万リーグからの妖怪』のＤＶＤディスクがケースの中で外れてからから鳴ってます。ギャー、裏面傷だらけ、おまけに商品管理用のプラスチックタグが外れ、こともあろうにＤＶＤに張りついていてあわてて引っぺがしたらノリがべっとり残ったという・・・。やはりクリスマスとかイースターの郵便繁忙時期は注文などするものではないですな。

　漁師が海底に不思議な光る物体を発見、ああ、おら、たまげただ、こんなもん、みたことないだとびっくりしていたらいきなりぶっさいくな、なんというかマーライオンが袋叩きにあったような怪物（ポール・ブレイズデル製作）が踊り出きて漁師を海に引きずり込みます。わあ、がぼがぼ・・・、不運な漁師はあわれ溺死。ひっくり返った船の下から泳いで画面の外に逃げる人影がちらりと見えますが、うん、分かっているんだ、気にするな。

　たまたま海岸ベリにいた主人公、テッド・バクスター（ケント・テイラー）は打ち上げられた漁師と船を発見、何者かが、死体を調べていたのですが、テッドが近づくと逃げていってしまいます。なんだ、アレは？でも、やっぱり死体を調べるテッド、その最中に国防省のスペッシャルエージェント、ウィリアム・Ｓ・グラント（ロドニー・ベル）に誰何されます。テッドは自分は怪しいものではない、この町にある海洋学大学の校長、キング教授（マイケル・ウォーレン）に会いにきたのだと説明します。そして、漁師の死体に放射能火傷があることを指摘するのでした。まるっきり田舎刑事のようで、とてもスペッシャルエージェントには見えない、グラント、このあやふやな説明に納得するのがおかしい。と、この漫才コンビのような二人に注がれる怪しい視線、気づかれたと知って逃げ出しますが、もたもたしているのでグラントに「むっ、あれはキング教授の助手のジョージ・トーマス（フィリップ・パイン）だ」と見破られるのがお粗末。

　場面が代わってキング教授宅、あたふた戻ってきた教授は娘のロイス（キャシー・ダウンズ）にええか、誰が尋ねて来てもおとっつあんはずぅっと寝てましたというんやでと命令し、寝室にこもります。なぜか濡れている足元、もう誰がみても怪しいです（笑）。そこに訪れたテッド、言われた通りに説明するロイスを急ぎの用件だから、急ぎだからと強引に押しのけて寝室へ、すると教授は窓から抜け出していたのでした。物語はともかくとしてテッド、新聞の勧誘の人より図々しい。

　翌朝、漁師の船をガイガーカウンターで調べているテッド、またも現われたグラント得意そうに「お前の本当の名前はテッド・スティーブンスだな、海洋生物への放射能の影響についてナンバーワンのエキスパートだ」誉めてどうする。あっさりとグラントの言葉に頷くテッド、どうでもいいけど意味のない偽名であります。その頃、海洋大学では秘書のエセル（ヴィヴィ・ジャニス）がやたらに教授のことを嗅ぎ回っていました。教授がたまたま落としたメモを拾ったエセルを見咎めたジョージ、助手だといっても何やってんだか全然わからないこいつが、「教授の秘密を暴くのに協力してくれれば金を払うぞ」悪いやっちゃあ。

　図々しいテッド、教授宅に二度目の訪問をします。「私は教授に招かれた、そしてドアの鍵が開いている、これはどんとどどんと上がり込みなさいという意味に違いない」一人納得して、本当にどんとどどんと上がり込みます。するとシャワーを浴びているロイス（笑）、ロイス、若い娘さんのくせに鍵も掛けずにシャワーを浴びあまつさえ、タオルを半分巻いた姿で居間のドアを開けよるのです。そしたらドアの正面にソファーがあって、テッドがにやにやしながら座っているというお色気場面。どんな家や！

　えー、その教授の秘密というのがですね、実験室に鍵をかけて閉じこもり海岸で拾ってきたミドリ亀、そんな自前の標本を使うほど金がないと見えますな、この大学（笑）、ミドリ亀にがーっ放射能かけて、突然変異させてるだけなんで、ちぇっ！阿呆らしい。そうこの教授、研究熱心なあまり、海中に放射性物質を設置して生物への影響を調べようとしていたのですね。あのマーライオンが風邪を引いたようなモンスター、あれはこの実験の結果だったのです。

　さて、海中の捜索に出かけるテッド、モンスターに邂逅してあわてて逃げ戻ってきます。が（笑）、海岸で水着姿のロイスを見つけるやいなや（アズ・スーン・アズ・ポシブルシステム）にじり寄ってくどき始めよるのです。早いとこ、グラントとかいうおっさんに教えんかい、ロイスにだけ、真顔で「海に入っちゃだめだ」って注意してどうするのか。

　唐突に登場した外国のスパイらしき水着女性、いや、本当に水着でサングラスばっかりなんだ、この人ァ、に操られるジョージ、テッドや深入りしすぎて教授に気づかれてしまったエセルを水中銃で襲撃します。テッドはからくも逃れますがエセルはばすっ！背中から銛を生やして絶命。グラントはエセル殺害を教授の仕業と思い込むのですが、犯行現場近くに残されていたジョージの車に凶器の水中銃が堂々と置いてあった為、あっさり彼の犯行と分かってしまうあたり、この映画のスタッフれんじゅうは映画をなめてるとしかいいようがありませんな。

　なんだか訳の分からぬうちに追い込まれた教授、実験室の機材をぶちこわし、ダイナマイトがよぉー、ダイナマイトがよぉー、150頓、を使って例の放射性物質を爆破しようとします。とそこに現われたマーライオンがパチンコですって憔悴したようなモンスター、教授と揉み合ううちに大爆発、共に果てたのでありました。ちゃん、ちゃん。

　だぶだぶとした不細工なモンスターに、絡まなくてもいい人間ドラマが絡んで、至極タイクツな映画であります。70分あまりの尺ですが、あまりのつまらなさに何度も寝込んでしまってそのたびにプレイバックしたものですから見るのに2時間近く掛かってしまいましたとさ。

　モノクロスタンダード、モノラル音声。画質？良い筈がない、ぼんやりとしていて輪郭線も目立つ，見難い画質。音声はまあ、聞きとれますなというレベル。頭から5分ほどぱたぱたというノイズが走って、画面の一部が乱れますが、これはプラスチックタグのノリのせいでしょう、畜生。ベンチュラ・ディストリビューション。ま、アマゾンで長いこと品切れになっていただけのことはあります。

Features:"Drive-In Antics" With Fred & Miss Kim!
Original Theatrical Trailer
Vintage Drive Intermission Spots
Exclusive Still Gallery
Studio: Ventura Distribution
Theatrical Release Date: February 8, 1956
DVD Release Date: August 27, 2001
Run Time: 80 minutes
Video:Standard 1.33:1
Audio:ENGLISH: Dolby Digital Mono
Subtitles:[None]　字幕なし

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